愛の雫
「あっ、良かった……。出て来てくれて……」


部屋を出ると、エプロン姿の陽子さんが安堵の笑みを浮かべた。


……バカじゃないの?


その表情を前に、固く結んだ唇は動かさずに心の中で嘲笑(アザワラ)った。


この人は、あたしがわざわざ部屋から出て来たなんて思ってる訳……?


そんな風に思っていると、心無しか嬉しそうな表情をしている陽子さんが口を開いた。


「あのね、お昼ご飯にオムライスを作ったんだけど、もしよかったら一緒に食べないかな?」


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