愛の雫
「希咲?」


「えっ?」


不意に凪兄に呼ばれて驚いたあたしは、弾かれたように顔を上げた。


「……眉間にシワ。また家の事考えてたんだろ?」


「あっ……!」


図星だったせいで、平静を装う暇も無く答えが顔に出てしまった。


「やっぱり……。希咲がボーッとしてる時って、大体そうだもんな……」


凪兄は苦笑しながら言って、あたしの様子を窺うように見つめて来たけど…


それに気付かない振りをして、マグカップに視線を落とした。


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