愛の雫
湯気が立たなくなったカラメルミルクは、すっかり冷めてしまった事を物語っていた。


両手で包んだままのマグカップが、少しだけ冷たい。


「ボーッとしてるから、冷めたんだろ?」


「猫舌だから冷ましてただけだし」


悪戯っぽく言った凪兄に、反抗するように返した。


「ふ〜ん……。希咲って、猫舌だっけ?」


「最近はそうなの」


「まぁイイけど」


凪兄はため息混じりの笑みを零した後、一呼吸置いてからあたしの瞳を真っ直ぐ見つめた。


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