愛の雫
「それ飲んだら、帰れよ」


「え……?」


「おじさんと陽子さんが心配してるからさ」


凪兄が発した言葉が、あたしを苛立たせる。


「あの二人は、あたしの事なんて心配してないよ」


「希咲……」


「さっきも言ったよね?あの人達にとっては、あたしなんて……いてもいなくても同じなんだよ」


あたしが淡々と言い放つと、眉を寄せていた凪兄が真剣な眼差しを向けた。


「希咲……。お前がいてもいなくても同じなんて、誰も思ってないよ」


< 26 / 830 >

この作品をシェア

pagetop