愛の雫
「希咲ちゃん?」


気分が益々重くなるのを感じながら門扉を閉めた時、あたしを呼ぶ声に引かれて振り返った。


「やっぱり希咲ちゃんじゃん!久しぶり〜!」


「奈緒ちゃん!」


満面の笑みで近付いて来た奈緒ちゃんは、あたしを抱き締めた。


「ちょっ、奈緒ちゃん!苦しいって!」


照れ臭さからそんな風に言いながらも、久しぶりに会う彼女の腕に包まれるのは嬉しい。


「アハハッ!!ごめん、ごめん!」


奈緒ちゃんは楽しげに笑って、体をパッと離した。


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