愛の雫
幸せそうに話す奈緒ちゃんの事が、心底羨ましかった。


そう思ったのは、あたしは何もかも上手くいかないから…。


家には居場所が無くて、好きだと自覚した凪兄には彼女がいる。


その上、絵里香だけじゃなく、早苗とも気まずいなんて…。


もう、負の連鎖に飲み込まれているとしか思えない。


「そろそろ行かなきゃ……」


どんな言葉を返せばいいのかわからなくて、曖昧な笑みで言った時…


「姉貴?……と、希咲?」


背後から、また名前を呼ばれた。


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