愛の雫
視線を上げると、手術室を見つめているパパがいた。


そりゃそうだよね……


パパが、あたしなんかよりも陽子さんの事を心配するのは当たり前の事なんだと思いながらも、しっかりと傷付いている自分(アタシ)に気付く。


思わず小さなため息を漏らすと、凪兄が顔を覆っていた手を退けた。


「希咲、もしかしてまだ苦しい?」


「ううん、もう平気だから……」


「そっか……」


小さな笑みを向けたあたしを見た凪兄が、不安そうに強張らせていた表情を緩めて微笑んだ。


< 581 / 830 >

この作品をシェア

pagetop