愛の雫
静かな病室に、陽子さんの小さなため息が響いた。


まだ辛そうに話す陽子さんに言いようの無い不安が過ぎって、それが大きくなる。


「平気よ……。まだ、ゆっくりとしか話せないけどね」


そんなあたしの心の中を察したのか、陽子さんがフワリと微笑んだ。


その瞬間、心を包んだのは安堵感。


同時に感じた温もりは、きっと気のせいなんかじゃないけど…


自分の感情に戸惑ったままのあたしは、それを上手く受け入れられなくて、話の続きを促すように陽子さんを見つめた。


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