愛の雫
いつの間にか、向き合う事への恐怖心が和らいでいた。


『恐くない』って言えば、きっと嘘になってしまう。


それでも、恐怖心にも勝る程の向き合う勇気を与えてくれた凪兄の笑顔を思い出すと、不思議と陽子さんの瞳を真っ直ぐ見つめ返す事が出来た。


大丈夫……


もう、逃げたりしないから……


病室のドアの向こうにいるハズの凪兄に、心の中で話し掛ける。


『大丈夫だよ』


そんなあたしに応えてくれるように、彼の優しい声が聞こえたような気がした。


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