花葬の時間
光のない世界で、わたしはイチ君に手を引かれながら歩いていく。
イチ君は意外にもぐいぐいと力強く引っ張るから、時々足がついていけなくなる。
はっきり言って、目隠しの方がある意味こわい。
何も見えないっていうのが、こんなにこわいなんて。
見えない分、聴覚が研ぎ澄まされて小さな動物の声にもビクついてる。
今更、目隠しをとるのもそれはそれでこわい。
情けないけど、今の頼りがこのイチ君のひんやりした手だなんて。
本当に不覚だ。あのイチ君と手を繋いでいるなんて。
イチ君なんて、嫌いなのに。学校でケンカしたって、いつも咎められるのはあたし。
ケンカっていってもわたしが一方的に怒ってるだけなんだけど。
…でもでも!イチが気持ち悪いことばっかり言うんだから仕方ないんだもん。
そうだ。初めて会った時だって、イチ君は教えてもないのにあたしの名前を知っていて。
それで………
「ニナちゃん、着いたよ」
「へっ!?きゃっ!」
頭の中は考え事でいっぱいだった。
イチ君が歩くスピードを緩めたことに気づかなくて、見事にイチ君に追突してしまった。