花葬の時間


わたしの体温を、全てイチ君に奪われてしまうかと思った。


背筋がピキンってなって胸の奥がどんどん冷たくなってくる感じ。


もう、やっぱりいやだ。イチ君なんて。その言葉に秘めた意味が分からない。


それともなにも考えてないだけ?



油断、できない。



わたしは何も言えずに、ただイチ君をじっとりと見る。


「……ニナちゃんは、かわいいね」


するとイチ君はフッと吐息にまじり笑って、持っていた蝋燭の火を微かに揺らした。


「なっ、はっ……!?」


洞窟の中は薄暗くて、寒いのに、わたしは自分の体が熱くなるのが分かった。


な、なんなの…!?イチ君のくせに!


わたしを油断させる罠なの?


「また、あったかくなったね。ニナちゃんの手」


そう言って、またわたしの手を引っ張るイチ君の体温は冷たいまま。


「ほら、もう着くよ。この小さい穴を抜けて?」


指を指したのは壁にぽっかりあいた小さな穴。奥まで続いているみたい。


イチ君はわたしの手を離して、そこへ入れと誘導する。


「イチ君が先に行って!」


イチ君がわたしの後ろを歩くなんてたまったもんじゃない。
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