†Dragon Guardian†
たとえそうした心内を知
らずとも時間を経る毎に
表情を歪ませていく弥嘉
を見るにつけ、翠は不安
のあまりすぐ傍の肩を激
しく揺さぶった。
「――――ちゃん、弥嘉
ちゃん!?どうしたの!?」
「……へ?あの、いえ、
特に、別に、何も」
突如一身に強い刺激を受
けて思わず呆ける弥嘉だ
ったが、眼の事情すら把
握していないであろう翠
にこれ以上の心配はかけ
まいと、半ば苦し紛れに
鞄の中を漁り始めた。
「ええっと、そういえば
翠さんはお水でしたよね
……あれ?確かここに入
れたはずなのですが」
「見つからない?」
「ど、どうやら奥の方へ
入り込んでしまったよう
です。申し訳ありません
が少しの間これを持って
頂けないでしょうか?」
「ええ、勿論全然構わな
いけれど……この時期に
お汁粉とカーディガンと
ネックウォーマー?」
そうしていざ引き受けた
は良いものの、単に話を
するだけでも汗だく必至
な盛夏にとっておよそ似
つかわしくない代物を前
に翠はふと首を傾げた。
「はい。昔から冷房に弱
い質なのでその対策に」
「――なるほど、今は外
だから良いけど屋内は空
調が効いているものね」
時折弥嘉の言動から見え
隠れする“違和感”に気
付きながらも、暫くして
「お待たせしました」と
声がかかるや否や、翠は
苦笑を交え大人しく水を
手に取るだけだった。