†Dragon Guardian†

ある程度の話を聞いても
弥嘉の疑問は止まること
を知らなかった。


「では、壱加様が以前に
仰っていた“ソイツ”や
“アイツ”とは一体?」


弥嘉の好奇心の旺盛さに男はさらに苦笑したが、結局は話すことにした。


「“ソイツ”は結局弥嘉
のことだったな」

「え……私ですか?」


予想外に、自分の名前が
出てきた為弥嘉は思わず
小さく声を漏らした。


「あと“アイツ”は私も
良くは知らないんだよ。
“2年前に会った黒のセミ
ロングで笑顔が印象的な
女性”らしいが、写真も
なければ名前すら分から
ない状態だからどう探し
たら良いのやら……」


男はそう言いながら白髪
混じりの頭を掻いた。




     ***




その後男は娘に向き直り
真剣な面持ちを見せた。


「話が随分と逸れたが、
用心するに越したことは
ない。能力の件、決して
忘れてはならないぞ」


男はどこか楽観的な娘に
もう一度釘を刺した。

彼が何を恐れているのか
分からない弥嘉だったが
一応は頷いて見せた。




―――弥嘉は、ようやく
現実に帰ってきた―――


< 75 / 287 >

この作品をシェア

pagetop