†Dragon Guardian†
ある程度の話を聞いても
弥嘉の疑問は止まること
を知らなかった。
「では、壱加様が以前に
仰っていた“ソイツ”や
“アイツ”とは一体?」
弥嘉の好奇心の旺盛さに男はさらに苦笑したが、結局は話すことにした。
「“ソイツ”は結局弥嘉
のことだったな」
「え……私ですか?」
予想外に、自分の名前が
出てきた為弥嘉は思わず
小さく声を漏らした。
「あと“アイツ”は私も
良くは知らないんだよ。
“2年前に会った黒のセミ
ロングで笑顔が印象的な
女性”らしいが、写真も
なければ名前すら分から
ない状態だからどう探し
たら良いのやら……」
男はそう言いながら白髪
混じりの頭を掻いた。
***
その後男は娘に向き直り
真剣な面持ちを見せた。
「話が随分と逸れたが、
用心するに越したことは
ない。能力の件、決して
忘れてはならないぞ」
男はどこか楽観的な娘に
もう一度釘を刺した。
彼が何を恐れているのか
分からない弥嘉だったが
一応は頷いて見せた。
―――弥嘉は、ようやく
現実に帰ってきた―――