それでも君と、はじめての恋を
「いいね楽しいね~」
「でしょ~?」
ニヤニヤと口の端を上げるあたしと友達を怪訝そうな目で見ていた葵にもこっそり教えてあげると、「そういうこと」と呆れながらも笑ってくれる。
「んじゃあサクッと行って戻ってこよっか!」
あたしが言って立ち上がるとみんなも腰を上げて、ゾロゾロと部屋の出入り口へ向かった。
「森くんもこのことでメールよこしたんじゃない?」
「かな。いるって返信したら返ってこないけど」
12人もいるものだから、あたしと葵と他数名はまだ部屋の中。
玄関でスリッパに履き替えてるであろう友達の笑い声が響く、と。
「おっ邪魔しまぁっす!」
「うわっ!」
「ビックリしたーっ!」
……今の底抜けに明るい声は、もしや……。
「あ、今から来るとこだった? 遅いから迎えに来ちゃったじゃ~んっ」
葵と顔を見合わせなくとも気付いていたけど、玄関から聞こえる少しトーンの上がった友達の声に純だと確信する。
告白したいらしい男子とは同室ではなかったはずだけど、純ってほんと何にでも首突っ込むな。
楽しいからと参加表明したあたしも似たようなもんだけど……って、あれ?
純がいるってことは、もしや……。
「渉ぅ~! いる~っ?」
先程よりも純の声が近付いたのは、あたしも玄関が見える場所へと移動しようと思ったからだ。
「あ、いたぁ~」
ばったり、部屋と玄関へ続く廊下の境目で出くわした純の後ろにモモを見つけて、パッと顔を明るくした瞬間。