トランプ帝国記
今のでもう気づかれたのではと、悪い方向へしか考えられなくなった。


そして正気に戻ったときには、リアはスフィアの手を握りしめ、走り出していた。





何が何でも逃げ切らないといけなかった―――。


自分一人じゃない。


まだ幼いスフィアがいる。


でも、逃げきれるわけはない。


この国からはでられないんだから…。


それもわかっていた。





どこだかわからない深い森に入った。


途中転ぶスフィアをおぶりながら、何も言わずただ必死で走り続けた。


自分が何かもわからない、暗い暗い森の中で―――…。


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