トランプ帝国記
肉体も精神ももう限界を越えるところまできたとき、視界に薄く光が入ってきた。


リアは何かわからないまま、その光を目指した。


光に近づくにつれ、出口にあるものが少しずつ見えてくる。


「―――!!」


リアははっとした。


それは、国境を表す鉄壁の門だった。


門の向こうには、堅い鎧を着た門番が二人見えた。




どこの国かはわからない。


けれどそんなことはどうだっていい。


この残酷な国から出られれば―――!




リアは残っていた力を振り絞って走った。


門には鉄格子がしてあった。


おぶっていたスフィアを降ろし、縋るように鉄格子を両手で握りしめる。


「お願いっ!!ここを開けて!!そっちに入れてえ!!!」


強く揺らしながら門番に叫ぶ。


「何だ?!君はっ」


「追われてるの!お願いっ!!」


「いや…しかし…」


「他国の者を入国させるなんて…」


「そんなこと言ってる場合じゃないの!ねえ!!」


門番は目を見合わせ困った表情でいた。


「迷ってる場合じゃないの!!早くいっ…」



バアァ―――ン!!!



「―――!!?」

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