ロシアンルーレット【コミカルアクション】
 今更のように到着したパトカーに、捕獲した容疑者を乱暴に押し込んでいる蔦山さんに、


「今日もう帰っていいっすかぁ??」


 へらへら笑って尋ねる俺。


 蔦山さんは、後部座席から外にわずかにはみ出している尻(ケツ)を、膝で小突いて容疑者をきっちりパトカー内に収め、乱暴にドアを閉めて俺を見た。


「ああ、もういんじゃね?なんかあったら呼ぶわ。」


 相変わらずの無表情でどうでもよさそうに言った。


 蔦山さんは、俺より4つか5つ年上で、背はさほど高くなく、野暮ったい長めの黒髪に無精髭が妙に似合ってた。


 その容姿に似合わず、いつも冷静沈着、理系の頭脳で正確な分析、判断をし、そのくせ情にもろいとこもあったりして、俺は密かに憧れていた。


「お前ら応援待てって言ったろ?」


 上司の赤城課長が怒鳴り散らして近付いて来る。


 どうやら帰れそうにない…俺は舌打ちした。





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