ロシアンルーレット【コミカルアクション】
「ごめん。」


 と呟いて、思わず苦笑い。


 顔が熱くなるのを感じてノアから顔を背け、思い切り煙を吸い込んだ。


 吸い込んだ煙を吐き出しながら、再びノアを見ると、ノアはもう膨れておらず、優しく俺を見詰めていた。


 少し潤んだ切なげな瞳。


 そんな眼で見詰められたら…


 そんな眼で俺を見るな、ノア…


 俺は指をめ一杯広げたパーを、ノアの顔辺りの窓ガラスに押し付け、ノアを俺の視界から消そうとしてみた。


 でも広げた指の間から、なおもノアの温かい視線は俺に注がれ続けた。


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