ロシアンルーレット【コミカルアクション】
 俺を捉えて逃さないよう、しっかり兄貴が握っているオートマチックにもびびったけど、それ以上に俺を震撼させたのは、兄貴の足元に血だらけで横たわる母だった。


 生きてるのか、死んでるのか、俺が居た位置からは判断できなかった。


「皆人…」


 何故か哀しげな表情で俺の名を呟き、兄貴が銃を下ろしかけたので、俺が母に近付こうと前のめりになった途端、それを阻止すべく、兄貴が下ろしかけた銃を再び俺に向かって構えた。


 前のめりのまま、俺は硬直し、視線だけを母から兄貴へと移し、兄貴の様子を窺った。


「それ以上近付くな、皆人。」


 静かに兄貴が言った。


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