ロシアンルーレット【コミカルアクション】
 店の扉を開けると、趣味の悪いやかましいだけの音楽が耳をつんざき、下品な笑い声や会話に気分が悪くなった。


 やっぱり居た。


 カウンターの向こう側で兄貴が、愛想よく微笑みながら、正面に座っている客の相手をしていた。


 俺は脇目も振らずテーブル席エリアを抜け、兄貴がいるカウンターへ足早に近付いた。


 誰もが会話に夢中で、酒に酔う以外の目的でやって来た俺の事など気にも留めなかった。


 兄貴と話しているヤツの左側すぐ隣に、身体をそいつの方へ向け、左肘をカウンターに引っ掛けて腰を降ろした。


 体格のいいそいつは、ピシャリと口を閉ざし、ゆっくり俺の方へ顔を向けおもむろに顔をしかめた。


 目尻に薄っすら刻まれた皺から判断して、40手前だろう。


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