ロシアンルーレット【コミカルアクション】
 この感じ、うまく説明できないけど、俺が俺じゃないみたいだった。


 彼女を前にした俺は、まるで別人で…


 でもそれは決して自分を偽ってる訳じゃなく、俺はちゃんと思うがままに行動しているわけで。


 そして、静寂の中に生きている彼女の前で、俺は赤ん坊のように無力だった。


 まどかさんの考えは正しいかも…


 俺…女で変われるかもって思った。








 現場に到着すると、蔦山さんがものすごい勢いで近付いてきて、右手で俺の襟元をつかみ自分に引き寄せ


「ケツは綺麗に拭けたんだろうな?」


 と低い声で威圧感たっぷりに囁いた。


 仕事さぼった上に、バレバレの嘘で言い訳した俺を蔦山さんは戒めている。


 こんなダメダメな俺だけど、蔦山さんの援護は俺にしか務まらない。


 蔦山さんは突如型破りなとんでもない動きをするし、それに即対応できるのは俺しかいなかった。


 だから、何人もの応援がいるにも関わらず、俺の到着を待っていた。





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