ロシアンルーレット【コミカルアクション】
 そして、彼女と赤メガネを交互に見ながら


「俺…もう行かないと。」


 と言って身を翻して店の出口へ向かった。


 彼女が『あっ』という表情をして俺を追い、自動ドアの前に立った俺の腕を引いて振り返らせた。


 俺の背後で自動ドアの開く音がした。


 彼女は右手を顎に持って行き、つまむようにしてその手を下に降ろした。


 今度は俺がキョトンとしていると、


「『ありがとう』って…」


 と赤メガネがにやけて言った。


「うん。」


 とだけ答え、俺はまた彼女に背を向け今度こそ店を出た。


 また顔が熱い…



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