ロシアンルーレット【コミカルアクション】
 無理やりに料理を口に押し込んでいると、俺と向かい合って誰かが座った。


 きちんとスーツを着こなした、50近い細身のオッサンが、俺に微笑みながら


「合い席よろしいかな?」


 と上品な口調で聞いた。


「いや、よくない。空いてる席へ行ってくれ。」


 店内はところどころ空席があるんだし、そら断るさ。


 それに聞くタイミングが不正解!!


 あんた、もう座っちゃってるしね。


 男は自分が尋ねといて、俺の丁寧な『お断り』は無視して話し始めた。


 俺に拒否権はないようだ。


「公務員の安月給じゃ、やりくり大変だろ?」


 紳士らしく落ち着いた口調でそう言うと、俺に向かって優しく微笑んだ。


 このオッサン、監察局のやつだ。


 只者でない雰囲気から、かなり上層部のヤツに違いない。


 そんなのが何で、俺みたいな、せこい汚職警官に目を付けたのか、不可解極まりなかったが、どうせ暇なんだろうと、さほど気に留めなかった。



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