Dangereuses hospital
それまでにも増して慎重に。

気配と足音を悟られないように、ゆっくりと病室に近づいていく。

一旦壁越しに立ち止まり、室内に聞き耳を立てる。

…誰か中にいるようだった。

「へへ…まさかこんないい女が入院してるたぁな…」

軽薄そうな男の声が、静まり返った病室の中から聞こえる。

犯人だろうか。

息を殺し、衣擦れの音さえさせないようにして、俺は室内を覗き込む。

…病室内にいるのは二人。

一人は、もう見飽きるほど見た、目出し帽に迷彩服姿の犯人。

そしてもう一人は、ベッドに横になったままの栗色の長い髪の女性。

人形を思わせる端正な顔立ちは、かつては魅了されるほどの魅力的な笑顔を振り撒いていたが、その面影も今ではない。

別の意味で人形的な…表情一つ変える事のない、感情をどこかに置き忘れてしまった少女の面が、顔に張り付いたままだった。

間違いない、朝霧美琴だ。

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