好きだからこそ

いつの間にか、涙が止まらなくなっていた

枯れたはずの涙が流れるなんて、おかしい……。


私は、どうかしたのかもしれない……。いや、どうかしてるんだ…。



「ごめん…光希、…私は光希を助けたくて……。 でもね?ムリだったよ、 貴方を騙すのも…殺そうとする衝動を抑えることも……もう、嫌だよ…人を殺すのも…、魔物が死ぬのも…私は…」



今までの演技はもう、何の役にもたたなくなってしまった…。


私の本音も止まらない。 涙と同じくして……



「何より嫌なのは…光希が死ぬ事なの……」



どうしたら良いか解らない。貴方を死なせずにすむ方法は私を嫌いにさせる事だった。

このまま、人間側勝っても私は生かして貰えない

そこまでは別に良いの。私が死ぬなら……

でも、私が死んだら貴方は悲しむよね?


それに、貴方は私を追ってきたりしない。なんて保証は無い…


だから、とても怖いの。



「ねぇ…光希、どうしたら良い?……私は…私は、貴方がっ……」



不意に身体をギュッと締め付けられた。

一瞬、それが何か解らなかったけど…


この暖かさは光希…
貴方のモノ



「光…希……?」



無言で抱きしめる貴方の腕は


アツくて


キツくて


セツナイ…



「朽美。大丈夫だよ」



「え?」



「俺は死なない。絶対に生き抜くって決めたしな …。この無意味な戦争を止めて、魔物と人間は一緒に生きていけるって事を教えてやろう?、な。」


優しい貴方の声は、耳元で囁かれ私はどことなく安心してしまう


貴方が言うと、
例え夢のおとぎ話でも本当の事に聞こえてしまうの。


貴方の声は魔法の声だから……



「……光希は、やっぱり人間だね」



さっきまで、あんなに必死だったのに…

何故かクスッと笑えてしまった。

きっと…貴方のせいだね



「んぁ?、何だよソレ」



「別に。大した意味じゃないよ」



絶対にムリな事でも、出来ると言えてしまう。

それが人間の良いトコロ

それに向かって“ドリョク”と、言うものをするんだよね?



「はぁ?んだよ、ソレ。気になるな」



ふてくされているけど
笑っている貴方の顔。

やっぱり、貴方はそっちの方が良い…



ずっと…
笑っていて欲しい…


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