異常人 T橋和則物語
「確かに彼は狂ってるわ。でも、人間として劣っている訳じゃないのよ」
セロンは癇癪をおこさないように我慢した。必死にたえた。ミッシェルに嫌味をいわれているのがわかるだけに、しゃくにさわった。彼は女に嫌味をいわれるのに慣れてない。「彼だって人間なのよ。今のわたしたちと同じなの。しかも、あんなに可愛い娘になったじゃないの。でしょ?セロン」ミッシェルが熱心に続けた。「ちゃんと扱ってあげれば、とてもいい人間になるわ。輝かしい成功を治めるかもしれないわ」彼女の声が和らいだ。「あなたは彼を救うべきだわ。きっと出来る。きっと…」
セロンは手のひらを前に突き出して、彼女をさえぎった。なだめすかすようにいった。「興奮しなさんな。なんでもないことを熱心にいったりしてさ」
なんでもないことですって! わたしのいったことを一言もきいていなかったの? 地中海の熱い気質が燃え上がった。「いつになったら和則を糞ったれ、馬鹿って呼ぶのをやめるつもり?」セロンをにらんで問いつめた。「侮辱するために連れ出したのなら、いますぐ病院へかえしてあげて」
セロンは息を吸いながら、考えた。頭のなかにさまざまな考えを巡らせた。そして、いった。「もし……彼が帰らないとしたら?」
「どういう意味?」ミッシェルが息を呑み、目を丸くした。
「つまり…」彼は彼女の目をまっすぐのぞきこんだ。「つまり、俺が面倒を見るんだ」
予想だにしなかったセロンの言葉に、ミッシェルは唖然とした。頭が混乱してきた。
「そんなこと、どうやってやるつもりなのよ。あなた医者じゃないのよ。彼をなおせるってでもいうの?」是非ともききたかった。
「わかんないよ」セロンが白状した。「でもなんとかなるさ」
「どこがよ」
「俺はフロイトの本を読んだことあるし、ひとの動かしかたはうまい。だろ?」
ミッシェルは混乱した。フロイトの本をパラパラみただけで、異常者の面倒をみられるスキル(技能)がつくはずはない。「フロイトの本をパラパラみただけで、どうやってやるつもりなのよ。あなた医者じゃないのよ。彼をなおせるってでもいうの?」
セロンは唇を噛み、その目は彼女をさけた。「糞ったれの馬鹿なんて扱うのは簡単さ」「どうやって?」ミッシェルはくりかえした。「医療知識もないのに」
セロンは癇癪をおこさないように我慢した。必死にたえた。ミッシェルに嫌味をいわれているのがわかるだけに、しゃくにさわった。彼は女に嫌味をいわれるのに慣れてない。「彼だって人間なのよ。今のわたしたちと同じなの。しかも、あんなに可愛い娘になったじゃないの。でしょ?セロン」ミッシェルが熱心に続けた。「ちゃんと扱ってあげれば、とてもいい人間になるわ。輝かしい成功を治めるかもしれないわ」彼女の声が和らいだ。「あなたは彼を救うべきだわ。きっと出来る。きっと…」
セロンは手のひらを前に突き出して、彼女をさえぎった。なだめすかすようにいった。「興奮しなさんな。なんでもないことを熱心にいったりしてさ」
なんでもないことですって! わたしのいったことを一言もきいていなかったの? 地中海の熱い気質が燃え上がった。「いつになったら和則を糞ったれ、馬鹿って呼ぶのをやめるつもり?」セロンをにらんで問いつめた。「侮辱するために連れ出したのなら、いますぐ病院へかえしてあげて」
セロンは息を吸いながら、考えた。頭のなかにさまざまな考えを巡らせた。そして、いった。「もし……彼が帰らないとしたら?」
「どういう意味?」ミッシェルが息を呑み、目を丸くした。
「つまり…」彼は彼女の目をまっすぐのぞきこんだ。「つまり、俺が面倒を見るんだ」
予想だにしなかったセロンの言葉に、ミッシェルは唖然とした。頭が混乱してきた。
「そんなこと、どうやってやるつもりなのよ。あなた医者じゃないのよ。彼をなおせるってでもいうの?」是非ともききたかった。
「わかんないよ」セロンが白状した。「でもなんとかなるさ」
「どこがよ」
「俺はフロイトの本を読んだことあるし、ひとの動かしかたはうまい。だろ?」
ミッシェルは混乱した。フロイトの本をパラパラみただけで、異常者の面倒をみられるスキル(技能)がつくはずはない。「フロイトの本をパラパラみただけで、どうやってやるつもりなのよ。あなた医者じゃないのよ。彼をなおせるってでもいうの?」
セロンは唇を噛み、その目は彼女をさけた。「糞ったれの馬鹿なんて扱うのは簡単さ」「どうやって?」ミッシェルはくりかえした。「医療知識もないのに」