異常人 T橋和則物語
 セロンは押し黙った。何かいわなければと焦れば焦るほど、舌はもつれた。
「ベットの相手? ベビー・シッター? あたしはあなたに救ってもらわなくてもいいのよ。セロン、あなたが救うひとはあっちよ!」ミッシェルは和則の部屋のほうの扉を指差した。和則の相手をしろ!…という訳だ。
「俺がなにしたっていうんだ?!」腹立ちまぎれにセロンはいった。
「和則を馬鹿にしている。そして、和則やわたしを利用している」
 ぐさっときた。とにかく、それは真実だった。自分の首がつながるために、和則を利用している。また、和則のお守りと自分のベットのためにミッシェルを利用している。まさにその通りであった。
「さよなら」そう冷たくいうと、ミッシェルは部屋を出ていった。あとには、途方に暮れる和則とセロンだけが残された。なんてこった! セロンは舌打ちした。
 だが、いつまでも茫然とつっ立っている訳にもいかない。セロンは和則の部屋にいき、どうしているか観察することにした。部屋にいくと、和則は聖書をじっと読んでいた。いや、漢字や英語はわからないのでひらがなをおっているだけだ。異常人め! セロンは舌打ちした。そして、(これからどうすりゃいいんだ?)と途方に暮れた。
 すると、和則が、「”日本美少女コンテスト開催!”コマーシャルをやっている」といった。和則はCMを思い出して、口マネしてにやりと笑った。”美少女”……魚田みすずこと和則の知らない言葉だった。しかし、セロンは知っている。
(”日本美少女コンテスト開催”?……まてよ)
 セロンは策略をめぐらせた。コンテスト? 美少女? まてよ、美少女? そうか!
「和則!いや、みすず!コンテストに出るか?」セロンにやりとし、そして続けた。「コンテストに受かれば大金が手にはいるぞ!また、タレントとして稼げる!お前は救われるんだ!どうだ……そうだろ?」しかし、和則は「ウォーター……ウォーター…」と呟くだけだった。だが、この策略はうまくいく。セロンは魚田みすずに可愛い服や下着や水着を買ってやり、コンテストにのぞんだ。和則は自分が美少女になったこともわからず、彼の前で裸になって、セロンは赤面した。そして、「和則、俺がいったせりふだけ答えろ!」と命令し、みすずはコンテストに出場、なんと魚田みすずはグランプリに輝いたので、ある。  
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