ゆずいろ


次々に溢れる涙。

私は必死にごまかした。


「あ、雨が垂れてきちゃったぁ…」

私がうつむきながら笑うと、

涼は何も言わずに、私の頭に手を置いた。

「無理して笑うな。なぁ?辛いんだろ?もう黙って、柚衣を見ておくのは限界なんだ。」


「…え?」

涼は私の激しい鼓動に気付いたかな。


「俺な、柚衣のこと、、好き。俺だけの柚衣になって…」


私は泣かなかった。

なんとなく分かっていたから?



………いや、違う。



私は涼の笑顔になんだか安心したんだ。

そのにかっと笑う笑顔に。


< 13 / 28 >

この作品をシェア

pagetop