ランク国物語

　「今回は貴方一人ではないのです。全員で立ち向かっているのです。その時は一人だったから恐怖心が何倍にも膨れ上がったんだと思います。共に戦いましょう。…それでも怖かったら逃げてくれてもいいですから。我々五人が負ければ、次に貴方の所に来るでしょう。その時一人で戦いたいのなら行かなくてもいいし、逃げ続けてくれてもいい。貴方が望むなら…。」スターツは言い終わると扉の方に足を向けた。その途中で呼び止められ、振り向かずに微笑み、足音が自分の横を通り過ぎるのを待ち、ついていった。
　「城の奥の丘を目指す。ついてくればいい。ただ、その時に後悔しても知らんからな。」二人は駆け出した。そして、丘の直前で激しい揺れで二人共立っていられず地面に手をつき止むのを待った。
　「この揺れは？」
　「ここらへんで待っていよう。直ぐにでも姿を表すはずだ。」
　「何に注意したらいいのか聞かせてください。」ラックは後ろを確認し、
　「もう少し待て。あいつらが到着したら言う。」スターツも後ろを見たら、フェイやエレジー他大勢が走って来た。ラックは爪先で地面を叩きながら、
　「お前も出てこい。」すると、地面から人が出てきた。
　「あはは…しかたないですね。」スターツは地面から出てきた軽装な男を指差し、
　「何で生きてんだお前が…。」
　「あの変態科学者が殺したのは、土人形何ですよ。」ラックは軽装な男を見て、
　「ラード。そんな格好で戦うつもりか？」
　「どんなに強固な鎧でも『無』の前では紙切れ同前何だから変わんないっしょ。」
　「そんな事はないだろ。その紙切れ一枚が生死を別けるんだぞ。」
　「はいはい。あっ！『無』の攻撃は、目では見えない力で当たったと感じた時には死んでるから気をつけてね。」
　「そんなの対応出来るわけないだろ！」
　「エレジー。目ではなく感覚で見るんだよ。どうしても見たいなら、葉っぱとかが消えたらそれだし、自分を中心に奴の力で球をつくればいい。そうすれば何かが来る事ぐらい分かるだろ？」
　「簡単に言ってくれるな。」
　「大丈夫ですよ。敵に意識していれば、違和感を感じますから。」ラードは笑いながら言った。ラックは剣を引き抜き
　「準備はいいか！来るぞ！」地響きがだんだん大きくなり、丘の頂上付近が吹き飛び二つの人影が飛び出した。