SleepingBeauti
噂と言うものは、いつだってひとり歩きして、きかせるべきでない存在に行き当たる。

『白川くん、彼女がいたらしいよ。同棲してるんだってね。河内さん、二股かけられたからやめたんだって』

それがぼくの会社に流れる噂だった。

とくに流れた噂は、ぼくのせいで、河内百合がやめたと言う噂だった。

おおかた、河内百合のことを好きだった、誰かが流した噂なのだろう。

一瞬、山下の顔が浮かんだが、今は噂を流した本人が重要じゃない。

ぼくに噂を教えてくれたのが、みずきだということのほうが重要なようだった。

「噂は、ほんとうですか?」みずきが今にも泣きそうな顔で詰め寄る。
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