SleepingBeauti
SleepingBeauti2
高知百合に電話をしたのは、寂しさからとやる瀬ない思いをぶつけるためだった。

のぞみのいなくなった部屋は、とても殺風景で、住み慣れているはずの部屋なのに、なぜか居心地が悪かった。

一人での暮らしになれているはずなのに、孤独だと言う思いが、ぼくの心を覆い尽くして、寂しいと言葉に発したいと思った。

けれども、のぞみは、あの三浦だと言う思いもある。

姉への思いと、のぞみへの思い。どちらをとることもできない。と、自問自答を繰り返し、のぞみの父の言葉が大きくのしかかった。

「罪を一生背負い続ける」

ぼくは、罪を背負い続けることがあたりまえで、でも、のぞみには、そんなことさせられない。

この苦しみは、のぞみには関係ないのだから………そう言い聞かし、ぼくはやる瀬ない思いをぶつける相手に高知百合を選んでいた。


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