SleepingBeauti
高校を卒業して、今の職場に就くまでは、引きこもりだった。

毎年くる、ぼくの誕生日。
姉の命日がくるたびに、ぼくは自暴自棄にかられた。

それでも、ぼくは自殺を考えなかった。

考えなかったというよりは、勇気がなかったし、生への執着が強かった。

姉への贖罪の思いよりも、ぼくは、いつしか、人並みに幸せを求めていた。

だけど、行動を抑制し、感情は押し殺した。

この町、工場地区を選んだ理由も、人が密集し、人を寄せつけなくて済む環境に適していたからだった。

こうした心の矛盾がぼくの中で葛藤し、人にたいして違和感を感じるようになっていったに違いなかった。
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