かんのれあ
「続きはまだ考えてません。」


あたしは心の霧を吹き飛ばすように、凛とした声を出す。



「でも、今度は文化祭をメインに作りたいなとは思ってます。

演劇のシナリオを書く事になって、書く楽しさも、作品が人目につく辛さというか――大変さを思い出す、みたいな感じで」



心の鉛によって抑えられてたあたしの動力装置が、

ゆっくりと、回りはじめたようだった。




「かんのさん、何か上手くなったね」


「へっ…?」


思わぬ山崎さんの言葉に、声を裏返してしまった。



「それ、一応恋愛モノだよね?」


「そのつもり…ですけど」


「まあ完成しないとわかんないけどさー、

こないだの新刊見る限りでは、興味を引く設定を、かんのさんの書きたいものにちゃんと上手い具合に乗せられてたと思う」


そんな風に、思ってくれてたなんて。
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