かんのれあ
「これ、全体的に話が読めないんですよね」



強めの口調だった。


ちょっとため息も聞こえたりして、ひょっとして怒らせたかもと、あたしは

「すみません、すみません」

と、電話の向こうの河野さんに、何度も頭を下げてしまった。


昨日、俊一から少年漫画を借りたおかげで、あたしがどういう路線で作品を書くか、

その道が少しくっきりしたような気がした。


しかし、道がくっきり見えるのとそれを実行するのとは、当たり前だけど、別の話らしかった。
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