かんのれあ
「いや、俺もこれはなかなか面白いと思ってますよ。

担当の欲目もあるんで、あんまり褒めてもアレだから、厳しい事ばっかり言ってはいたけど。頑張ったね」


「……あ、はい!頑張りました(笑)!
ありがとうございます」


あたしぐらいの年頃の子は、"頑張ったね"なんて褒め方、ふつう嫌がるのかもしれない。


あたしは純粋に嬉しくて嬉しくて、思わずはにかんでいると、

河野さんは"今のはちょっと偉そうだったかな?"と言いたげに、苦笑いを含ませたような声で笑っていた。



「そしたら売れ行きを見ながら、今後の打ち合わせをしましょう。

発売日までまだちょっと時間があるんで、シリーズ化した場合の二作目と、

まあ……万が一の場合もあるんで、完全新作も、できれば練っといてください」


「わかりました」


そして、また後ほど連絡しますと言って、河野さんは電話を切った。


あたしは今までにないやる気で、早速プロットに取り掛かった。
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