かんのれあ
あれから何週間か経ったけど、「進んでる?」とか、「もし詰まってたら、途中でも相談にのりますよ」

と何度か連絡をもらいつつ、結局打ち合わせらしい打ち合わせはしていなかった。




そして、何だかんだとしているうちに、あっという間に発売日になった。




売れ行きをみて今後を決める

――なんて事を言われていたので、あたしは不安と期待を胸に、学校が終わると地元で一番大きな本屋へ直行した。



お店に入り、入口あたりで店内を見渡す。


すると向こうのレジの方で、何だかお店の人たちが、大人のやり取りを交わしているのが見える。


よくよく見ると、その中にはスーツ姿の河野さんがいた。


河野さんは大きな紙袋や封筒を抱えて、店長さんらしき人たちに、キレの良いお辞儀を何度も繰り返している。
< 74 / 200 >

この作品をシェア

pagetop