【完】スマイリー☆症候群
「それのどこが地獄なんだ。そんなちっぽけな羞恥、痛くも痒くもない。俺は今まで、もっと過酷な道を歩んできたぞ」
俺は眉をひそめて清水を見る。
俺が数年前味わった“あの体験”に比べれば、ちょっとばかりの恥をかくことなど、どうってことはない。
「はいはい」
清水はそう言うと、冷ややかな目で俺を見た。
「俺ァてめぇが今までどんな困難を潜り抜けてたかは知らねぇが、俺達一般男子高校生にとっちゃ、今日のこのイベントは天下分け目の大合戦なんだよ」
「大合戦……?」
「ああ。天国を見るか、はたまた地獄を見るかの真剣勝負。……全ては、天国へのチケットを1枚でも手にした者の勝ちだ」
俺を見る、異様に柔らかな目。
そして、異常なほど爽やか……だけど真剣な表情。
「そうか」
「おう」
俺は奴に負けたのだ。