【完】スマイリー☆症候群
「桜井……!」
そう叫んだときには、もう彼女の姿は見当たらなくて。
……一言、礼を言いたかったんだが。
しかし一体、何だったのだろうか。
残されたのは、さっき桜井から貰ったばかりの、赤いリボンであしらわれた茶色い箱のみ。
「おい、清水。この箱の中身わかるか? あの2人は“つくった”とか何とか言っていたが……」
隣の、何故か上機嫌な清水に問い掛ける。
「お前、そんなこともわかんねぇのか? さっき散々話してただろ。……チョコだよ、チョコ」
「チョコ……なのか」
もし、それが本当だとすれば。
何故一度も話したことのないこの俺に、彼女はチョコなど渡してくれたのだろう。
俺の中でまた1つ芽生えた疑問は、大きくなっていく一方で仕方なかった。