溺れた愛のシルシ
あたしたちの歌が終わると、
部屋中に手拍子がリズムに合わせて巻き起こった。
「アンコール、アンコールッ」
「那奈ちゃん超歌うまいじゃんっ」
みんな怖いと思ってた人ばかりなのに、
なんだか温かい人たちだと思った。
みんなの声に答えて、彼は
「いっちゃおうか?」
とあたしに問いかけた。
あたしに断る理由なんてないから、
迷わずに首を縦に動かした。
「よっ。ナイスカップルッ」
ナイスカップルって…。
そんな言葉のせいで、
あたしの体温は緊張と恥ずかしさで
急上昇してしまった。
歌の途中なのに、
全く口を開かないあたしに彼は
「どうしたの?」
と問いかけた。
リズムを奏でる手拍子も、
あたしの異変に気づいて
静まってしまった。