Escape ~殺人犯と私~
てた……。




本気で殺される……



私の手が、酷く震え始めた。



「嘘でしょ…」



消え入るような声で呟き、ソファーの上に腰を抜かした。



現実をどんなに疑ったって

疑いようの無い事実を、目前に突き付けられていた。



助けなんて来ない。



もし、私が家に帰らなくても誰も気付かないし

彼氏のせいで学校もサボリ慣れてるから

私が通学しなくても誰も気に止めない。



それが……私の現実。




むなし過ぎて涙も出ない。



私は

偽遺書を破り捨てた。



そして

震える指先でペンを握った。







ガチャッ。





部屋の鍵が開いた音がした。
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