治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
「いえいえ、目的の場所をあなたのような方の、鈴鳥より美しい声で聞けただけでも充分です。
助かりました、麗しの人。では、私めはこれで失礼を」
「あ、お待ちに……!あなた、どこの家のものですか。良ければ、これから舞踏会があるので私と一緒に」
「いえ、麗しの人。私めには大事な用事がありますのでこれで」
ふっ、と気持ち悪い微笑をたらした男というのに、何故か婦人は頬を染め上げたわけだが。
「ユリウスぅ、聞いてきてあげたよー。さあ、早く警察に行って、二人で甘い甘い昼食と行こうじゃないかー、って、ぐふ」
私に飛び付く変態をグーの手で止める。
その奥で赤らめた頬を一気に破顔させる婦人に一礼をして、私は教えられた場所に向かう。
いくら痛がろうとも、私の半径二メートルにいなければならない彼は勝手についてくるわけで。