治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
「あ、驚かせてごめんね。女の子がこんな場所にいたから、つい声をかけちゃって」
優しい口調で近づいたつもりだったけど、私が一歩進めば、警戒する子猫みたく女の子も一歩下がってしまう。
「ご、ごめんね」
「………、ううん、大丈夫。お姉ちゃんはどーしてここにいるの?」
警戒は解かれたらしく、ほっとする。
「あ、私は……、悪者を捕まえに来たというか。それよりも、ここら辺は危ないよ。早く家に帰らなきゃ。送っていくよ」
遠くから手を差し伸べれば、女の子はふるふると首を振った。
そうして可愛い笑みを浮かべて。
「アリスは大丈夫なの。アリスにはママがいるから」
あの大きな十字架を触って女の子は言った。
寂しいような風が吹く。
顔にかかる髪を手でよけながら、十字架に触る女の子を見た。