治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
「マ、マ……?」
「うん!アリスのママがこの下で眠っているの。疲れたから、眠ってね、それでね、アリスはママが起きるまで待ってるの!」
はしゃぎ、誇らしげに言う女の子。
見て気づいたことだが、十字架には黒い帽子――ベール付きのヘッドドレスがかけてあった。
女の子はこの下にママがいるという。
――ああ。
「そうか。偉いね、ママを待ってるんだ」
ママのお墓前に立つ女の子に、ある幻想を見た。
夕暮れ。泣く私。小さな手。土掘り返して、叫んで、村のみんなに止められた、あの遠い昔で止まったままの悲しみが。
「うん、アリスはお利口さんなのっ。ママにいっぱいいっぱい、なでなでしてもらいたいから」
えへへ、と笑う女の子になんと言葉をかけていいか分からない。
墓下に眠るママを待ち焦がれる女の子に。
ただできることと言えば。
「え、と……お名前は?」