治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん


「マ、マ……?」


「うん!アリスのママがこの下で眠っているの。疲れたから、眠ってね、それでね、アリスはママが起きるまで待ってるの!」


はしゃぎ、誇らしげに言う女の子。


見て気づいたことだが、十字架には黒い帽子――ベール付きのヘッドドレスがかけてあった。


女の子はこの下にママがいるという。



――ああ。



「そうか。偉いね、ママを待ってるんだ」



ママのお墓前に立つ女の子に、ある幻想を見た。



夕暮れ。泣く私。小さな手。土掘り返して、叫んで、村のみんなに止められた、あの遠い昔で止まったままの悲しみが。


「うん、アリスはお利口さんなのっ。ママにいっぱいいっぱい、なでなでしてもらいたいから」


えへへ、と笑う女の子になんと言葉をかけていいか分からない。


墓下に眠るママを待ち焦がれる女の子に。


ただできることと言えば。


「え、と……お名前は?」


< 133 / 411 >

この作品をシェア

pagetop