治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
黒人はアリスちゃんを撫でていた。
先ほどまでの猛攻はなく、今いるのはただアリスちゃんを慰める母親。
操るのはアリスちゃんだと彼は言った。
ならば、黒人にあやす母親を演じさせているのはアリスちゃんで。
その彼女は、今。
「いい加減にして下さい……っ、もうアリスちゃん怖がることしかしていないんですよっ」
彼の左腕を掴む。
私が介入したことにより、彼が慌てて身を引いた。
「ユリウス……、でもね、殺さなきゃやられて――」
「泣く今のあの子に私たちが殺せますかっ。あなたが今やっているのはただの一方的な虐待です……、もうイヤなんです。あの子の泣き声は聞いていて……痛くて」
自分の胸元を知らずに掴む。
耳に響くのは相変わらずの泣き声。ママと嗚咽をあげるだけの悲惨さ。
涙を目にいっぱいためて、ウサギのぬいぐるみを力いっぱい抱きしめて、座り込んで前のめりに体をくの字にしていた。