治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
「アリスちゃん……」
「……、白い髪と赤い目の人間は、魔術師の間で高く売れるんだ」
彼女の叫びを付け足すように彼は言う。
見れば、彼もどこか痛々しそうな眼差しで泣き声の主を見ていた。
「神子と呼ばれ、呪術を用いるさいに必要な道具とされていた。もちろんはったりで何の根拠もない作り話だが……信じる奴は信じてね。
まあ、信じなくても高く売れると“知っている奴”はこぞってアリスを狙った。
首から上、もしくは体ごとでも構わない。神子と同様、“女の子”は売れる代物だ」
「そんなの……」
「レルムじゃ――平和な村じゃありえない。君が信じられないのも当たり前だが、事実だ。
人間は欲物であり、欲深い。弱者を虐げる強者がいて、強者に媚びを売る弱者がいる。
アリスはその犠牲者。ああ、あの黒人形もかな。ここまで聞けば想像出来るかもしれないが、母親はあの子が三歳の時に殺された。
どういった殺されかたをされたか俺は知らないが、死んだ人間を生きていると――母親を殺された場面をまるっきり忘れるほどだ。ろくな死に方じゃない」