治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
泣き続けるアリスちゃんに駆け寄ろうとしたが、彼に腕を掴まれる。
「アリスの悲しみはこれだけじゃない。実際にあの子は売られた。売られて、呪術の儀式に用いられた。
何を混ぜたかも分からない激薬を飲まされ、血を流し、己が流した血で術式を書かされた。
そこからだ、あの子が闇に見初められたのは。闇を使う呪術の道具にされ、“覚えて”しまったのだろう」
私を止める彼が何を伝えたいのか分からなかった。
私を止めるくせして、言うことは全て私がアリスちゃんを助けたいという気持ちにさせる。
「離し……っ」
「以来、母親の死体を操り生活している。一人で、ずっとずっと一人で。死体を生きている母親として、ずっと“独り”なんだ。
そんな子が――小さな命が死のうとしている。死体なんかに踊り喰いされるという惨い死に方をね」