治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
シブリールさんを探していたと言うが、探すとは出歩くということであり、出歩くには色々と荷物が必要なものだ。
この街内に家があれば話は別だけど。
「アリスはね、いっつも夜はラグナ様のお城に帰るの」
お着替えもそこにいっぱいあるんだよ、と椅子に座りながら教えてくれるアリスちゃん。
ラグナ。
昨日の話を思い出す。
思い出して気づいたことだけど、私の欠落した記憶はどうもアリスちゃんが屍に襲われた時以降にしかない。
それ以前は、はっきりと覚えている。
欠落がなくていいのはいいけど、以前と以降がはっきり分かる欠落も何だか不気味だ。
「ラグナ様って……ラグナロク一座のこと」
もう一つの椅子に私が座れば、アリスちゃんがわざわざこちらに来て私の膝上に乗ってきた。