治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
地といっても、白いタイルの道だ。
こんな人工的な産物、あの泉の周りにはなかったし。
「…………」
ただ、変わってしまった光景を見回した。
別の場所に繋がっていると彼は言っていたが、ならばここが“その場所”だったのだろう。
月が大きすぎる夜だった。
灯りなど必要ほどない眩い世界。
そうして、咲き誇る赤いもの。
バラがあたり一面に咲き誇り、私たちの出迎えをしていた。
庭園ではなく、楽園にも近い。
バラの楽園。
少し遠くにお城があった。
大聖堂のように見ただけで神聖さと偉大さを知るような大きな城。
年代が古いような石造りの城だった。
「大丈夫お姉ちゃんっ」
「平気?どこかぶつけたかい」