治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
持った花びらを風に渡し、私はまた数秒間この“場所というもの”を見つめた。
「……、ここがラグナロク様のお城」
正直、相応しい場所だと思えた。
まだ見てもなく、ただその凄さを知っているだけというのに。
見ただけで、身を強ばらせてしまう恐怖する美しさを感じた今。
偉大なるラグナロクに相応しいと納得してしまいそうだった。
「そうだよ。あまり帰りたくはなかったんだが……。まあ、来たからには行くしかあるまい。
行こうか。今の時間ならば、庭園で茶でもすすっているはずだから」
彼に行くように促される。
アリスもラグナロク様のところまだ案内するつもりか、私たちの一歩前を歩いていた。