治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
今まで通った道と違い、広場のように広くて丸い白タイルで区画された場所。
その中心に、その人はいた。
クロスが引かれた丸いテーブルの上にはポットとカップ、お茶菓子などのティータイム一式があり、その人が今、お茶を楽しんでいるとはよく分かる。
白くてアンティークを意識したような椅子に座り。
「よく帰ったな。“死人の主人”(ネクロマンサー)よ」
自分に駆けてきた女の子を出迎えた。
私の足が止まる。
挨拶を言うべきなのに、あまりにも彼女が綺麗すぎて、声がつまる。
「ほう、これはこれは」
この楽園に相応しく、楽園の女王たる彼女がこちらを向く。
左目の赤い眼帯に最初に目がいき、後は右目の蒼い眼差しを見てしまう。
切れ長いいじわるそうな眼差しなのに、見られていて嫌な気分はしなかった。
綻んだ口端は魔物みたいに何かを企むような裏がある微笑でも、魅がついた魔物には自分からその企みに引っかかってしまいそうだった。